歌壇へのこんな質問
NPO(非営利組織)の拡大を提唱して、こういう。
「われわれ団塊の世代は、サービスを受ける側に回るのではなく、見識や技能をもっか老人が、サービスを与える側に回るということも検討すべきだ」。
何よりも、そういう活動に参加すれば、生き甲斐が得られる。
賃金は安くても、世間に胸を張って生きていくことができる。
金を多く稼ぐ者が立派な人間であるというバブルの時代の価値観を乗り越えて、収入は低くても社会に貢献している人こそ立派な人物であるという評価が生まれる。
ボランティア活動が社会的なステータスになるという、そういう価値観を確立すれば、それはかつての全共闘運動の精神にもつながるし、全共闘運動か実現しえなかった理想社会を、これから実現することも可能なのだ。
(同書)これまた立派な提言だ。
だがあまりにも立派すぎるものだから、反対側まで振り切って「バカ」と結びついている。
「生き甲斐が得られる」、「胸を張って生きていくことができる」、「立派な人物であるという評価が生まれる」などなど、すべて頭の中で単純に考えただけの空想にすぎない。
むろんボランティア活動が不要だとも無意味だとも思わない。
したい人は大いにやればいい。
だが「収入は低くても社会に貢献している人こそ立派な人物である」という社会的評価は生まれないと思う。
評価する人は個人的に評価するだけである。
清掃員は「立派な人物」だという社会的評価がはたしてあるか。
三田は最後にどういうつもりか団塊の世代の団結を叫んでいる。
「いまこそわたしたちは、再結集する必要がある」と。
われわれはもはや「無力な若者ではない」。
「われわれの声は政治を、社会を、静かに動かしていくだろう」。
とはいえ、政治や社会のトップにあるのは、一世代も二世代も上の頑迷固晒な老人たちである。
われわれの誠実な議論が伝わらないというのであれば、われわれは再びヘルメットをかぶりゲバ棒を手にすることもやぶさかではない。
団塊老人の逆襲が、いま始まろうとしている。
(同意って、いったいどこで?こんなこと本気で書いているとはとても思えない。
ただ景気づけのレトリックにすぎないではないか。
「われわれは再びヘルメットをかぶりゲバ棒を手にすることもやぶさかではない」つて、いったいどこのだれと相談したのだ。
おれはこのまま作家としてやっていくけれど、同世代の諸君、君たちはNPOに参加して、一朝事あれば、再結集してゲバ棒をもって戦ってくれ、ということか。
なにを指揮しているのだ。
佐高信については日垣隆が徹底的な批判をしている。
日垣の著書『偽善系H』(文藷春秋)のなかの「辛口評論家の正体」という章が丸々佐高批判なのだ。
日垣の評論スタイルの特徴は批評対象に関する資料を可能な限り渉猟するというものだが、佐高批判にあたっても「段ボール三箱に達する彼(佐高)の本や連載原稿」を読んだということだ。
その資料分析によって日垣は、世にいわれる佐高の毒舌(文章)がいかに感情的で自己陶酔的で薄っぺらで底が浅くて(そもそも底じたいがない?)、至る所で論理矛盾をきたしているかを、また案に相違していかに「ゴリゴリの反動」で権威主義的であるかを、佐高本人の文章を衝き合わせることによって明確にしている。
これでは佐高もグウの音もでまいと思ったらとんでもない。
そんなことでグウとでもいうくらいなら文筆業界は渡っていけないのである。
佐高の対談集『こいつだけは許せない!』(徳間書店)という本のなかに、唯一敵対的な相手として猪瀬直樹が登場している。
猪瀬から「結局、書評家」とか「善玉悪玉論」とか「毎月パンフレットみたいな本を書いていて」と痛いところをつかれても、へこたれるどころの話ではないのである。
ああいえばこういこういえばああいって、薄ら笑いを浮かべている風情なのだ。
ではなにゆえに本書で佐高信をとりあげるのか。
相変わらずバカだからだ。
まず文章が驚異的に下手である。
試しにつぎの文章を読んでいただきたい。
い私は『大蔵省分割論』(光文社)で、大蔵官僚のスキャンダルを、中島義雄や田谷広明という主計局エリートらのタカリ的。
下半身スキャンダル″と、土田正顕や寺村信行ら、銀行局長経験者による政策的誤りがもたらした″上半身スキャンダル″に分け、それらが重なっていることを指摘したが、ホンネでは、主計局の後輩たちは中島や田谷のやったことを悪いとは思っていないようなのである。
(『鵜の目鷹の目佐高の目』読売新聞社)つて、ちょっとびっくりするよこれは。
「ホンネでは」以下の文章がもうムチャクチャでしょ。
当然、佐高の「ホンネ」かと思って、そのあとに「こんなただの思いつきの指摘がたいして意味があるとは思っていなかったのである。
ごめんなさい」みたいな文章が続くのかと予想していると、いきなり主語が「主計局の後輩たち」に入れ代わっているのだ。
佐高はこんなでたらめに自分では金輪際気づかないのだから、編集者が注意してやらなけりや。
姜尚中の人気ぶりを書こうとして、文章の一行目に、いきなり(いきなりですよ)「とくに女性たちの姜人気は凄い」とくる。
当然この文章の前には「姜尚中の人気は並たいていではない」みたいな文章が必要じゃなかろうか(それにしても、女たちはともかく、姜尚中が男にもそんなに人気があるとは思わないが)。
もう一例見ていただこう。
むのたけじという人は、ある意味で、私の人生を決定した人である。
むのさんの本を学生時代に読んで、日本を変えるには足もとから変えなければならない、と私は郷里に帰ったようなところがある。
(『こいつだけは許せない!』)これ、一読して意味がわかるひといますか(いるのか)。
わかしにはチンプンカンプンだった。
三回ぐらい読んで、そういうことかとやっとわかった。
「足もとから変えなければならないと決意して」とでもするとこだろうが、その前に「読んで」があるからそれは避けたい(「読んで」の「で」と、「決意して」の「て」が重なるから)。
とすると、このように書けばいいのである。
「私か郷里に帰ったのも、むのさんの本を学生時代に読んでから、日本を変えるには足もとから変えなければならない、と考えるようになったことが最大の原因である」。
で、なんとか読めるようになったところで、その内容だが、ウソである。
どうしてどいつもこいつもウソばかりなのか。
「日本を変えるために郷里に帰った」つて、そんなバカな。
ヅーナロードでも戦後共産党の山村工作隊でも文化大革0時中国の下放でもあるまいに。
それに、「私の人生を決定した」のに、なんで「帰ったようなところがある」と曖昧なんだ(この隠語が悪文の原因)。
「私は決然として郷里に帰った」とでもしなければ話が合わないではないか。
自分を青雲の志をもった男として演出しようとしているから、辻棲が合わなくなるのだ。
だいたい『こいつだけは許せない!』の中に自分がはいっていないのはどういうわけだ。
日垣も指摘しているが、佐高信は、「大学教授は干物である」とか、自民党と自由党の連立は「ブリテン連立」、小渕内閣は「オブツ内閣」、小沢一郎を「フリチンスキー」などと、こんな小学生みたいなことばっかり書いているのである。
なぜこんなことばかり書くのか。
答えは、こんなことしか書けないからである。
佐高にはほとんど思考力がない。
それをカモフラージュするための標語でありダジャレなのだ。
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